うちには座敷童がいる

ある日、リビングで家族団欒を楽しんでいると祖父が突然こう言いました。

『うちには座敷童がいる』

……。

ええ、もちろんいません。

うちには奥座敷もありませんし、口減らしもしていません。

 

祖父が言うには、自分の部屋の戸棚の中に買っていないはずのどら焼きが入っていたり、買ったはずの羊羹が無くなっていたり、それに怒ると翌日にはいちご大福が入っていたり。とりあえずお菓子を盗むイタズラ好きの座敷童がいるようだと言うのです。

勿論、全て祖父が自分でやって忘れているだけなのですが。

 

認知症発症以前の祖父は論理的な性格で、間違ってもお化けだとか妖怪だとか、そういった怪奇現象を信じるようなタイプではありませんでした。

さらに言えば私が幼い頃、一緒に行った移動遊園地のお化け屋敷で『この塗装はいいな、本物の血に見える』だの『この骸骨の骨の数はおかしいだろ、人間の肋骨は24本だぞ。おいごま!間違って覚えるんじゃないぞ!人間の肋骨は片側12本の合計24本だ!こいつは16本しかない!』などと言い私含む周りの子供たちを興醒めさせた男です。

そんな祖父が…!

『座敷童がいる』…!!!

 

認知症の新たな可能性を感じた瞬間でした。

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