帰ってきた靴下

温泉が大好きな祖父はよく妹(実家暮らし)に連れられて日帰り温泉へ行きます。

 

ある日のこと、いつも通り休憩所で待ち合わせているのに待てど暮らせど出て来ない祖父。

番台さんに様子を見に行ってもらった所、靴下を無くした祖父が必死に靴下を探していたそうです。

 

祖父は生足で靴を履くのが大嫌い。それだけの理由で石●純一も大嫌い。「生足で革靴を履く男にロクな奴はいない」と豪語している祖父にとっては、靴下がないのは死活問題と言っても過言ではありません。

 

祖父は認知症を発症する以前より全ての持ち物に名前と連絡先を縫い付けています。

靴下も例外ではなく左右ともに縫い付けてあります。番台さんが一緒に探してくれるも、その靴下がどこにもないのです。

 

頑固な祖父は「靴下がないなら靴は履かん!俺は裸足で帰る!」と言い出します。

もうこうなったら止まらない祖父。妹は「もう一度探してくるからそこから動かないで!」とマッサージチェアに100円を投入。祖父を座らせ、急いでコンビニに。紳士用靴下を購入し、それを履かせ、事なきを得たそうです。

「この靴下名前書いてないな〜帰ったらすゞに縫ってもらわないとな〜」と、やっぱりどこかボケているけれど一件落着。

 

さて、問題の失われた靴下。

なんと祖父と妹が家に到着する前に、靴下だけが帰ってきていました。

同じ温泉を利用していたご老人が間違えて履いて帰ってしまったのだそうです。

そこの娘さんが『すみません、父は認知症で。縫われている名前と住所を見て返しにきました』と、新品の靴下とともに家にやってきたのだとか。

 

世の中律儀な人もいるのですね。

祖父の記名習慣が初めて役に(?)たった瞬間でした。

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